
Claude Codeとは
Claude CodeはAnthropicが提供するCLIベースの開発エージェントです。
ターミナル上でClaudeと対話しながら、ファイル編集・シェル実行・Web検索・外部ツール連携を組み合わせて作業を進めることができます。
一般的なAIチャットと違う点は、ツールを実際に実行して状態を変化させられることです。
コードを書いて終わりではなく、テストを走らせて、エラーを見て、修正して、コミットするところまで担当します。
結果としてエンジニアの役割は、実装そのものから「エージェントに何をやらせるか」の設計にシフトします。
MCPとは
MCPはModel Context Protocolの略で、LLMに外部ツールや外部データを接続するための標準プロトコルです。
Anthropicが2024年後半に公開し、現在はClaude Code、Claude Desktop、その他のエージェント実装で共通して使われています。
MCPサーバーは任意のプログラミング言語で実装でき、Claude Code側からはどのMCPサーバーでも同じ作法でツール呼び出しができます。
つまりClaude Codeに新しい能力を足したければ、MCPサーバーを1つ追加するだけで済みます。
MCPが登場する前は、各ツール統合ごとに専用のプラグインを書く必要があり、開発コストが大きな障壁でした。
標準プロトコル化により、1度書いたMCPサーバーが複数のエージェント実装で再利用できるようになりました。
実務で使っているMCPサーバー
Netsujoでは以下のMCPサーバーをClaude Codeに接続して日常業務を回しています。
- Google Workspace MCP: Gmail, Calendar, Drive, Docs, Sheets を統合
- Google Search Console MCP: 検索パフォーマンスの取得とIndexing API連携
- Google Analytics 4 MCP: レポート取得とイベント分析
- Chrome DevTools MCP: ブラウザ操作・Lighthouse監査・ネットワーク解析
- Strapi MCP(独自構築): 記事のCRUDとwebhookテスト
- Playwright MCP: ヘッドレスブラウザ自動化
各MCPサーバーは .claude/settings.json または ~/.claude/mcp.json に登録するだけで使えます。
接続したMCPサーバーのツールは、Claude Code起動時に自動でツールリストに載ります。
設定例は次のような形です。
{
"mcpServers": {
"google-workspace": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-google-workspace"],
"env": {
"GOOGLE_CLIENT_ID": "...",
"GOOGLE_CLIENT_SECRET": "..."
}
}
}
}認証情報は環境変数経由で渡し、設定ファイル自体には秘匿情報を書かないことが鉄則です。
サブエージェント駆動開発のパターン
Claude Codeの真価はサブエージェントを複数起動したときに発揮されます。
Netsujoで定着しているパターンは次の3つです。
パターン1: コードレビューと実装の分離
メインエージェントが実装し、別エージェントが差分をレビューする構成です。
実装者は仕様を満たすことに集中し、レビュワーは規約違反・セキュリティ・パフォーマンスを見ます。
両者のコンテキストが独立しているため、指摘が馴れ合いにならず品質が安定します。
人間によるレビューはこの後の最終チェックに回せるため、初歩的な指摘に時間を取られません。
パターン2: セキュリティ監査の並行実行
npm installや外部ライブラリ追加のたびに、セキュリティ監査エージェントを並行起動します。
監査エージェントは npm audit、ライセンスチェック、known-malwareデータベース照合を行います。
2024年以降のサプライチェーン攻撃に対応するため、Netsujoでは全パッケージ更新でこの監査を通しています。
特にpostinstallスクリプトに外部リクエストを発行するパッケージは、検出次第ブロックする仕組みです。
パターン3: 調査と実装の並行
1つの課題に対して複数のサブエージェントを同時に走らせ、別々の視点から調査します。
例えば「SEOが落ちた原因」を調べる場合、GSCエージェント・GA4エージェント・ログ解析エージェントを同時に起動します。
メインエージェントは各結果を集約して結論を出すだけで、調査時間を3分の1に短縮できます。
直列で調査していた頃と比べて、意思決定までのリードタイムが明確に短くなりました。
Netsujoでの実例
ここから具体的な利用例を3つ紹介します。
SEO記事生成の自動化
miyakodeit.comのSEO記事は、Claude Code + Strapi MCPで半自動化しています。
キーワード調査→記事構成→本文執筆→Strapi投稿→Indexing API送信までを1つのコマンドで実行します。
人間はタイトルとキーワードを指定するだけで、残りはエージェントが担当します。
結果として記事1本あたりの所要時間が90分から15分に短縮されました。
重要なのは品質基準をプロンプトに明文化することで、「です・ます調」「ポエム表現禁止」「1段落1文」といったルールをプリセットとして与えています。
定期ジョブの自動化
毎日8時・12時・17時のGmailチェックはcronで自動化しています。
Claude Codeが未読メールを取得し、返信が必要なものに絞って日本語の下書きを作成します。
メルマガ・自動通知・プロモーションは自動除外するロジックを組み込んでいます。
人間は下書きを確認して送信ボタンを押すだけです。
返信品質はチェックしなくても問題ないレベルに達しており、平均応答時間が大幅に短縮されました。
webhook設定とデバッグ
前の記事で扱ったStrapi v5 webhookのデバッグにもClaude Codeを使っています。
Vercel環境変数の末尾改行問題を検出したのは、curlによる疎通確認とログ解析を並行して走らせたエージェントです。
人間が気付くまで数時間かかっていた問題を、10分で原因特定できました。
エージェントはシークレット長の差分(64文字 vs 65文字)に即座に気付き、原因をバイト列レベルまで特定してくれました。
注意点: コストとトレードオフ
Agent駆動開発は万能ではありません。いくつか注意点があります。
- APIコストがかさむ: サブエージェント並行実行は課金が積み上がります
- コンテキスト分断: 複数エージェント間で情報を渡す設計が必要です
- 不可逆操作への配慮: 本番DB操作はレビューを必須にします
- 学習コスト: MCPサーバーの選定とプロンプト設計にノウハウが要ります
- ログ追跡: エージェントが何をしたかを後から追える仕組みが必要です
Netsujoでは月間のClaude Code利用料を定点観測しており、費用対効果が合わない作業はエージェント化から外します。
特にワンショットのちょっとしたスクリプト作成は、エージェントに頼むよりIDEで直接書いた方が早いケースが多いです。
逆に繰り返し発生する定型作業ほど自動化の価値が高く、週5回以上発生する作業は優先してエージェント化しています。
導入のステップ
これからAgent駆動開発を始める場合のおすすめ手順です。
- Claude Codeをインストールして手元の小さなタスクで試す
- 既存のMCPサーバーを1つ接続する(おすすめはGmailかGitHub)
- 定型作業を1つ選んでプロンプト化する
- コスト監視の仕組みを入れてから本格利用に移行する
- サブエージェント並行パターンを覚える
最初の1週間で成果を実感できなくても、2週目以降で急激に効率が上がるパターンが多いです。
まとめ
Claude CodeとMCPを組み合わせると、開発ワークフローの広い範囲をエージェントに任せることができます。
特にサブエージェント並行実行のパターンは、調査・レビュー・監査など人間がボトルネックになりがちな工程を劇的に加速します。
最初の1歩は、既存のMCPサーバーを1つ接続して手元の業務を部分自動化することです。
Netsujoも最初はGmail MCPだけから始め、半年で6つのMCPサーバーを常用する体制に育てました。







