Netsujo実践シリーズ
AIエージェント開発・運用の事故録
Netsujoが実際に壊し、直し、仕組みに変えた記録
公開日:2026年8月21日 著者:飯田 友広(Tomohiro Iida)
AIエージェントを増やすと、コードを書く速度は上がります。引き継ぎ、PR、CI、承認、本番確認の設計が追いつかなければ、速くなった分だけ状態の不整合も増えます。
このシリーズでは、Netsujoで実際に起きた失敗を一件ずつ分解し、注意や長いプロンプトで終わらせず、ルール、テスト、CI、権限分離、Evidenceへ移した過程を公開します。
このシリーズの結論
AIの能力を上げるだけでは開発運用は安定しません。AIが誤っても、次の状態を保てるシステムが必要です。
- 案件と会話の系譜を追跡できること
- 検証したコードと操作対象が一致すること
- 権限外の操作が止まること
- 実行していない検査をPASSと呼ばないこと
- 本番へ何が出たかを後から証明できること
- 同じ失敗を人間が二度注意しなくてよいこと
Incident ↓ Root Cause ↓ Rule ↓ Guardrail ↓ Evidence
第1章 役割と品質監査
#00
公開済みAIを増やす前に、役割を分ける
ChatGPTを設計、Claude Codeを実装、Codexを監査へ分けるときの権限、Task Contract、終了条件、人間の統合責任を整理します。
#01
準備中私はAIレビューを安心の儀式にしかけていた
レビュー対象、再レビュー条件、終了条件、レビュー予算を決めず、品質監査を不安軽減の儀式へ変えた失敗を扱います。
#02
公開済み同じ注意を二度したら、システムのバグである
「最新SHAか」「mergeしたか」「Productionへ出たか」を、Controller、Evidence Ledger、Gateへ移します。
第2章 引き継ぎと状態識別
#03
公開済み同じ案件なのに、チャット名が違う
名称を揃えたうえで、WORK_ITEM_ID、PREDECESSOR_CHAT、repository、PR、HEAD SHAを引き継ぐ方法を示します。
#04
準備中Stopを押しても、仕事は止まらない
会話停止、外部processのcancel、観測継続、rollbackを分けて扱います。
第3章 Git、CI、Evidence
#05
準備中PR番号ではなく、Exact SHAを信じる
CI tested SHA、reviewed SHA、Owner authorized SHA、merge対象SHAを一致させる理由を扱います。
#06
準備中CLOSEDはMERGEDではない
PR state、merge commit、ancestry、patch、必要な挙動の順で「対策済み」を検証します。
#07
準備中CIが落ちたら、とりあえずrerunしない
failure signature、deterministic、flaky、infrastructureの分類とfresh CIを整理します。
#08
公開済みActions代を減らしたら、安全検査まで抜けかけた
UNKNOWNとCI自己変更をfull pathへ倒し、skipをPASSと呼ばないpath-aware CIを扱います。
第4章 並列統合と本番統制
#09
公開済み実装は並列化する。統合は直列化する
lane ownership、single-writer、non-force integrationで、複数Agentの収束競合を抑えます。
#10
準備中Deploy SUCCESSを本番確認と呼ばない
main SHA、deploy SHA、Production SHA、schema、公開経路、認証済み経路、browser evidenceを揃えます。
#11
準備中すべてをOwner承認にしたら、開発が止まった
LOW、MEDIUM、HIGH、UNKNOWNで権限と証拠を変え、高リスク変更だけをexact-SHA authorizationへ結びます。
どこから読むか
- AIツールの役割分担から見直したい:#00
- 引き継ぎが混乱している:#03
- CIの結果を信用できない:#05、#07、#08
- 複数Agentが同じPRへ干渉する:#09
- Deploy後の完了判定が曖昧:#10
- 安全性を上げたら承認待ちで止まった:#11
特定モデルの優劣や万能なプロンプト集は扱いません。チーム人数、リポジトリ、権限、規制、障害許容度によって必要な統制は変わるため、記事ごとに適用条件と残存リスクを記載します。
この記事の著者

飯田 友広
代表取締役
Netsujo株式会社 代表取締役。京都発のWeb3・AI実装スタートアップを2023年6月に創業。Webサイトを営業基盤として捉え、経営・営業・検索・生成AI・コンバージョン・計測を横断して課題と改善優先順位を整理する「Netsujo SIGNAL」を設計・運営。京都ビッグデータ活用プラットフォーム参画(小規模企業会員・ベンチャー)、同プラットフォーム発のワーキンググループ「Chain Up KYOTO」参画(2026-03-10)、IVS2026サイドイベント「なぜ京都でWeb3.0ビジネスなのか」を京都府庁旧議場で開催(2026-07-02・Netsujoとして主催、企画・登壇・運営/京都府デジタル政策推進課は共催)。京都美術工芸大学での講義・龍谷大学でのセミナー実績、ITコミュニティ「みやこでIT」(connpassメンバー614名・イベント167件・2019年2月から運営)運営。NPO法人NEMTUS理事、BAR KRYPTO運営。ソーシャル企業認証「S認証」認証企業(2026年2月認証・2026年4月公表)。技術領域はWeb3/ブロックチェーン/DID/NFT/生成AI/コミュニティ運営。
プロフィールを見るこの記事が向いている方
Claude CodeやCodexを導入した少人数の開発組織・一人CTO
AIエージェント導入後にPR、CI、権限、本番運用が混乱している責任者
AIへGitHubやProduction権限を渡す前に統制を設計したい企業
— 壁打ち相談
読者のよくある相談
記事を読んだ後に「自分の状況だとどう判断すべきか」を整理するための壁打ち相談を受け付けています。下記のような相談例が当てはまる方は、お気軽にご連絡ください。
Q. AIを増やしたのに、実装より統合と確認に時間がかかる
役割、作業識別、品質ゲート、統合責任を分け、どこで状態が混ざっているかを確認します。
Q. AIの完了報告とGitHub・Productionの実状態が一致しない
PR番号ではなくExact SHA、CI evidence、merge結果、Production provenanceを連結します。
Q. 安全装置を増やしたら、承認待ちで開発が止まった
変更をLOW、MEDIUM、HIGH、UNKNOWNへ分類し、必要な承認強度を変えます。
上記いずれかが該当する場合、初回30分の壁打ち相談で論点整理に対応します。記事に書ききれない個別事情を踏まえた判断材料が必要な段階こそ、壁打ちが活きやすいフェーズです。