Netsujo実践シリーズ
AIエージェント開発・運用の事故録
Netsujoが実際に壊し、直し、仕組みに変えた記録
公開日:2026年8月21日 更新日:2026年8月25日 著者:飯田 友広(Tomohiro Iida)
AIエージェントを増やすと、コードを書く速度は上がります。引き継ぎ、PR、CI、承認、本番確認の設計が追いつかなければ、速くなった分だけ状態の不整合も増えます。
このシリーズでは、Netsujoで実際に起きた失敗を一件ずつ分解し、注意や長いプロンプトで終わらせず、ルール、テスト、CI、権限分離、Evidenceへ移した過程を公開します。全12回を公開済みです。
このシリーズの結論
AIの能力を上げるだけでは開発運用は安定しません。AIが誤っても、次の状態を保てるシステムが必要です。
- 案件と作業の系譜を追跡できること
- 検証したコードと操作対象が一致すること
- 権限外の操作が止まること
- 実行していない検査をPASSと呼ばないこと
- 本番へ何が出たかを後から証明できること
- 同じ失敗を人間が二度注意しなくてよいこと
Incident ↓ Root Cause ↓ Rule ↓ Guardrail ↓ Evidence
第1章 役割と品質監査
第2章 引き継ぎと状態識別
第3章 Git、CI、Evidence
#05
PR番号ではなく、Exact SHAを信じる
CI tested SHA、reviewed SHA、Owner authorized SHA、merged SHA、Production SHAを区別して照合します。
#06
CLOSEDはMERGEDではない
PR state、merge commit、ancestry、patch、必要な挙動の順で「対策済み」を検証します。
#07
CIが落ちても、すぐrerunしない
failure signatureの抽出、deterministic・flaky・infrastructure・rate-limitの分類、fresh exact-head CIを整理します。
#08
Actions代を減らしたら、安全検査まで抜けかけた
UNKNOWNとCI自己変更をfull pathへ倒し、skipをPASSと呼ばないpath-aware CIを扱います。
第4章 並列統合と本番統制
どこから読むか
- AIツールの役割分担から見直したい:#00
- レビューを増やしても不安が減らない:#01
- 同じ確認を人間が繰り返している:#02
- 引き継ぎが混乱している:#03
- 止めたはずの処理が動いている:#04
- CIの結果を信用できない:#05、#06、#07、#08
- 複数Agentが同じPRへ干渉する:#09
- Deploy後の完了判定が曖昧:#10
- 安全性を上げたら承認待ちで止まった:#11
特定モデルの優劣や万能なプロンプト集は扱いません。チーム人数、リポジトリ、権限、規制、障害許容度によって必要な統制は変わるため、記事ごとに適用条件と残存リスクを記載します。
本シリーズは事故ごとの分類、原因、是正、Evidenceを担当します。AIエージェントで会社の業務全体をどう回しているかという運用OSの総論はAIエージェントで会社を回すが担当します。
この記事の著者

飯田 友広
代表取締役
Netsujo株式会社 代表取締役。京都発のWeb3・AI実装スタートアップを2023年6月に創業。Webサイトを営業基盤として捉え、経営・営業・検索・生成AI・コンバージョン・計測を横断して課題と改善優先順位を整理する「Netsujo SIGNAL」を設計・運営。さらに、ChatGPT・Codex・Claude Codeを状態再構築、競合回避、独立QC、Exact-head検証、停止、復旧まで含む制御ループで運用する社内AI開発基盤「Netsujo Agent OS」を設計・実運転。Netsujoとして京都ビッグデータ活用プラットフォームに参画(小規模企業会員(ベンチャー))し、同プラットフォーム発のワーキンググループ「Chain Up KYOTO」にも参画(2026年3月10日〜)。IVS2026サイドイベント「なぜ京都でWeb3.0ビジネスなのか」はNetsujoとして京都府庁旧議場で主催・企画・登壇・運営(2026年7月2日/京都府 総合政策環境部 デジタル政策推進課は共催)。京都美術工芸大学・龍谷大学での講義に加え、京都高度技術研究所(ASTEM)、旅館業界、就労支援施設、Open Source Conference等で登壇実績。ITコミュニティ「みやこでIT」(connpassメンバー637名・イベント174件・2019年2月から運営)運営。NPO法人NEMTUS理事、BAR KRYPTO運営。Netsujoはソーシャル企業認証制度「S認証」の認証企業(2026年2月認証・2026年4月公表)。技術領域はWeb3/ブロックチェーン/DID/NFT/生成AI/コミュニティ運営。
プロフィールを見るこの記事が向いている方
Claude CodeやCodexを導入した少人数の開発組織・一人CTO
AIエージェント導入後にPR、CI、権限、本番運用が混乱している責任者
AIへGitHubやProduction権限を渡す前に統制を設計したい企業
— 壁打ち相談
読者のよくある相談
記事を読んだ後に「自分の状況だとどう判断すべきか」を整理するための壁打ち相談を受け付けています。下記のような相談例が当てはまる方は、お気軽にご連絡ください。
Q. AIを増やしたのに、実装より統合と確認に時間がかかる
役割、作業識別、品質ゲート、統合責任を分け、どこで状態が混ざっているかを確認します。
Q. AIの完了報告とGitHub・Productionの実状態が一致しない
PR番号ではなくExact SHA、CI evidence、merge結果、Production provenanceを連結します。
Q. 安全装置を増やしたら、承認待ちで開発が止まった
変更をLOW、MEDIUM、HIGH、UNKNOWNへ分類し、必要な承認強度を変えます。
上記いずれかが該当する場合、初回30分の壁打ち相談で論点整理に対応します。記事に書ききれない個別事情を踏まえた判断材料が必要な段階こそ、壁打ちが活きやすいフェーズです。