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自治体向けWeb32026.04.07約10分で読める

自治体×Web3の実証実験ガイド

活用領域・進め方・成功のポイント

自治体がブロックチェーン・NFT・DIDを活用する実証実験が増えています。

一方で「どの領域から着手すべきか」「パートナー選定の基準は何か」が不明確なまま検討が止まるケースも多いです。本記事では、活用領域・進め方・成功のポイントを整理します。

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自治体でのWeb3活用領域 — 4つのカテゴリ

国内外の事例を整理すると、自治体のWeb3活用は大きく4つの領域に分類できます。技術特性と行政課題の対応関係を理解した上で領域を選定することが、実証成功の前提になります。

観光・関係人口

NFTスタンプラリーや来訪証明トークンは、観光客の行動データを自治体が取得できる仕組みとして機能します。デジタル住民票をNFTで発行する施策も複数の自治体で実証が進んでいます。関係人口の可視化と継続的な関与促進が主な目的です。

行政手続きのデジタル化

DID(分散型ID)ベースの本人確認は、マイナンバーカードに依存しない住民認証の代替手段として注目されています。在留資格証明・学歴証明などのデジタル証明書発行への応用も実証段階にあります。

地域通貨・ポイント

トークンを活用した地域経済循環は、既存のポイントカード施策をブロックチェーン上で再設計するアプローチです。加盟店舗間のポイント互換や、地域外流出防止の仕組みとして設計できます。発行・管理コストの削減効果も検証対象です。

データの透明性・信頼性

行政記録のブロックチェーン記録は、改ざん防止と監査証跡の確保を目的とします。補助金執行記録・議事録・入札結果など、住民への説明責任が求められるデータが主な対象です。オープンデータ施策との組み合わせで信頼性を担保できます。

領域選定の判断基準

  • 既存の担当課業務との接点が明確か
  • 住民の参加障壁を下げられる設計が可能か
  • 補助金・交付金の対象領域と合致するか
  • 条例・個人情報保護法との整合が取れるか

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実証実験の進め方 — 5ステップ

自治体のWeb3実証は、民間企業のPoCと比べて「議会承認」「個人情報保護委員会への届出」「住民説明」など行政固有のプロセスが加わります。5つのステップと各フェーズの行政特有の論点を整理します。

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STEP 01: 課題特定

「何を解決するためにWeb3を使うか」を明確にするフェーズです。技術ありきで検討を始めると、住民ニーズと乖離した実証になりやすいです。担当課の業務課題・予算制約・議会対応の観点を整理し、「この課題がWeb3で解決できるか」という問いを立てます。

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STEP 02: 技術選定

パブリックチェーン・コンソーシアムチェーン・プライベートチェーンの選択は、データの公開範囲・コスト・ガバナンス要件によって変わります。行政用途ではデータの管理主体が明確であることが求められるため、コンソーシアム型が採用されるケースが多いです。

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STEP 03: 予算確保

デジタル田園都市国家構想推進交付金・内閣府デジタル化推進補助金など、Web3・DX関連の補助制度が複数あります。交付申請のスケジュールと実証開始時期を逆算し、採択前提での準備を進めます。民間共同実施によるコスト分担も検討できます。

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STEP 04: 実証

実証規模は「最小限の住民接点で仮説を確認できる範囲」に絞ります。参加者50〜200名程度のパイロットから始め、UI・オンボーディング・サポート体制の課題を洗い出します。週次で進捗を議会・首長向けに報告できる体制を整えておくことが承認維持に直結します。

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STEP 05: 評価・展開

実証終了後に「継続・拡大・中止」のいずれかを判断する評価ドキュメントを作成します。KPIの達成状況・住民フィードバック・運用コストの3軸で評価し、拡大判断の場合は本番運用の予算・体制・条例整備の要否を同時に提示します。

PoCとしての実証実験の構造

自治体の実証実験もPoC(概念実証)の構造に沿って設計することで、「なぜ実施するのか」「何をもって成功とするか」が関係者間で共有しやすくなります。PoC設計の基本についてはPoCの進め方ガイドを参照ください。

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成功のポイント — 3つに絞る

国内の自治体Web3実証の事例を分析すると、継続・拡大に至ったケースには共通する設計原則があります。技術的な完成度よりも、組織・住民・パートナーとの関係設計が結果を左右します。

住民目線の設計

技術的実現性よりも「住民が使えるか」を優先します。NFTウォレットのセットアップ、スマートフォン非所持者への対応、多言語サポートなど、利用者の属性に合わせたオンボーディング設計が実証の成否を左右します。

段階的な展開

一度に全庁展開を目指さず、単一の課・単一のユースケースから始めます。小規模実証で得た知見を次フェーズの設計に反映させるサイクルが、リスクとコストを最小化します。「小さく始めて横展開する」構造が条例整備のタイミングとも合わせやすいです。

民間パートナー選定

自治体のWeb3実証では、技術実装力だけでなく「補助金申請の支援実績」「地域コミュニティとの接点」「規制対応の知見」を持つパートナーを選定することが重要です。初期の技術選定の誤りが後続フェーズの全コストに影響するため、パートナー評価に時間をかけることが合理的です。

DID活用の実証で押さえるべき点

個人情報保護との整合:DIDによる本人確認は、個人情報保護法上の「個人情報」に該当するかどうかの法的整理が必要です。自治体が発行者となる場合、個人情報保護委員会への事前照会を推奨します。

相互運用性の確認:異なる自治体や民間サービス間でDIDの互換性が確保されるか、実証段階から標準仕様(W3C DID仕様等)への準拠を確認する必要があります。

Web3コンサルティングの活用

実証実験の設計段階から、技術選定・補助金申請・住民説明資料の作成まで包括的に支援します。行政調達の経験を持つチームが対応するため、議会説明に耐えうる資料品質で進められます。

Web3コンサルティングサービスを見る

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京都府の取り組み — Chain UP KYOTO WG

京都府では、ブロックチェーン技術の社会実装を推進する産官学連携ワーキンググループ「Chain UP KYOTO WG」が活動しています。NFT・DID・スマートコントラクトを活用した府内実証事例の蓄積と横展開が主な活動内容です。

Netsujoはこのワーキンググループに参画し、技術検証・事例収集・実証実験の設計支援を担っています。府内自治体が実証に取り組む際の技術的な相談窓口としても機能しています。

Chain UP KYOTO WGの活動概要

参加主体

京都府・府内自治体・民間企業・大学研究機関

主な活動

実証事例の横展開・技術勉強会・補助金活用の情報共有

Netsujoの役割

技術検証・実証設計支援・民間パートナーとしての実装担当

補助金申請をお考えの方へ

Web3実証の検討は、「予算が付いてから」ではなく「補助金申請の前」から動き始めることをおすすめします。交付申請に必要な技術的根拠・費用見積・実施体制の資料作成には、通常2〜3ヶ月ほどかかります。

私たちも資料作成からお手伝いできますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

自治体のWeb3活用は「観光・関係人口」「行政手続きデジタル化」「地域通貨」「データ透明性」の4領域が主な対象です。既存業務課題との接点と補助金対象領域の重なりから優先領域を決めます。

実証実験の進め方は「課題特定→技術選定→予算確保→実証→評価・展開」の5ステップが基本です。行政固有のプロセス(議会説明・個人情報対応)を織り込んだスケジュール設計が必要になります。

成功のポイントは住民目線の設計・段階的展開・適切なパートナー選定の3点に集約されます。技術の完成度より、住民が継続して使える設計と行政ガバナンスへの適合が実証継続の条件です。

自治体向けWeb3支援

実証設計から本番運用まで伴走します

補助金申請支援・技術選定・住民説明資料作成・実証実施・評価レポートまで一気通貫で対応します。京都府Chain UP KYOTO WG参画実績あり。初回相談は無料です。