Web3の要件定義
プロジェクト成功のためのチェックリスト
Web3プロジェクトの要件定義は、通常のシステム開発よりも考慮事項が多く、整理の順序を誤ると後半で手戻りが発生します。
本記事では、4カテゴリ10項目のチェックリストと4ステップのプロセスを用いて、実務に即した要件定義の進め方を解説します。
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Web3要件定義が難しい3つの理由
通常のWebシステムと比較して、Web3プロジェクトの要件定義には固有の難しさがあります。その構造を理解した上でチェックリストを使うことで、見落としを減らせます。
技術の変化が速く、仕様が確定しにくい
プロトコルのアップグレードやL2の普及など、Web3の技術環境は半年単位で変わります。要件定義の時点で「正解」が存在せず、仮説ベースで設計を進める必要があります。
法務・規制の解釈が未確定な領域がある
トークン発行・DeFi連携・ステーブルコイン決済など、法的グレーゾーンが存在します。要件定義の段階で規制当局の解釈を確認しないまま進むと、後続フェーズで手戻りが発生します。
ステークホルダーの認識がズレやすい
Web3に不慣れな事業部門と技術部門の間で、「何ができるか」の認識が乖離します。要件定義の段階で用語・前提・制約を揃えておかないと、スコープが際限なく広がります。
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要件定義チェックリスト(4カテゴリ10項目)
以下の10項目は、Web3プロジェクトの要件定義で見落とされやすい観点を4カテゴリに整理したものです。PoCまたは本開発開始前に全項目の確認ステータスを記録することを推奨します。
事業要件
- ☐ブロックチェーンを使う必然性が明確になっているか(DB代替との差分)
- ☐トークンエコノミクスを設計するか、しないかが決まっているか
- ☐BtoB・BtoC・政府向けなど、主要なユーザーセグメントが確定しているか
技術要件
- ☐採用チェーンとその理由(パブリック/プライベート、EVM互換性)が記述されているか
- ☐スマートコントラクトのアップグレーダビリティ方針が決まっているか
- ☐オフチェーンとのデータ連携設計(オラクル、APIゲートウェイ)が含まれているか
法務・規制
- ☐金融商品取引法・資金決済法の適用可能性を法務部門と確認済みか
- ☐個人情報保護法との整合性(オンチェーンへの個人データ記録の可否)を確認済みか
運用・保守
- ☐ウォレット管理・秘密鍵バックアップの運用ルールが定義されているか
- ☐スマートコントラクトの緊急停止(サーキットブレーカー)とインシデント対応フローが設計されているか
チェックリストの使い方
全項目を「確認済み/未確認/N/A」の3ステータスで管理します。未確認項目が残った状態でPoC・本開発を開始すると、後続フェーズでその項目が障害になります。N/Aと判断した場合も、その根拠を記録しておくことで後から判断根拠を説明できます。
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要件定義のプロセス(4ステップ)
チェックリストの各項目を埋めるための実務プロセスを4ステップで整理します。ステップを飛ばすと後続の工程で確認コストが増加します。
STEP 01: As-Is整理とWeb3導入の目的定義
現状の業務フロー・システム構成を可視化した上で、「どの課題をWeb3で解決するか」を1文で記述します。ここが曖昧なままでは、後続の要件定義がすべて仮説ベースになりません。
STEP 02: 技術・法務の制約調査
選定候補チェーンの技術仕様と、業種固有の法規制をリストアップします。制約が明確になることで、要件の実現可能性判断が可能になります。
STEP 03: チェックリストベースの要件定義書作成
上記4カテゴリ10項目を軸に、各項目の詳細要件・確認ステータス・担当者を記載した要件定義書を作成します。ステータス管理が不明確だと、未確認事項がドキュメントに埋もれます。
STEP 04: ステークホルダーレビューと合意
事業・技術・法務・経営の各部門が一堂に会してレビューします。このフェーズで未解決の論点をすべて洗い出し、PoCまたは本開発のスタート条件を文書化して合意します。
PoCとの関係
要件定義の段階で技術的な実現可能性が不確かな場合、ステップ3の前にPoCを挟む設計が有効です。PoCの結果をステップ3の要件定義書に反映することで、検証済みの要件として確定できます。
PoCの進め方を詳しく見るWeb3コンサルティングとの連携
特に法務・規制カテゴリの確認は、業種・事業形態によって判断基準が異なります。Netsujoのコンサルティングでは、チェックリストのレビューとステークホルダーへの説明資料作成を含む形でサポートします。
Web3コンサルティングサービスを見るまとめ
Web3要件定義の難しさは「技術変化の速さ」「法規制の不確定性」「ステークホルダーの認識ズレ」の3点に集約されます。
4カテゴリ10項目のチェックリストを全項目確認済みにした上でPoC・本開発を開始することで、後続フェーズの手戻りを最小化できます。
プロセスは「As-Is整理→制約調査→要件定義書作成→ステークホルダーレビュー」の4ステップです。ステップ2と3の間にPoCを挟む設計も有効な選択肢です。
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