みやこでIT・私たちの考え
AIの時代に、なぜ人が集まる場所をつくるのか
· 飯田 友広
AIとつくり、リモートで働く。Netsujoの日々の仕事は、デジタルの便利さに支えられています。その一方で、京都のITコミュニティ「みやこでIT」を運営し、人が直接会う機会もつくっています。
会わずに進められることが増えた今、わざわざ集まる時間を何に使うのか。私たちが残したいのは、一緒に手を動かし、相手の考え方に触れ、予定になかった話ができる時間です。
予定調和から、少し離れる。
目的が決まった会議や検索は、答えに向かって進むのに向いています。AIやオンラインの道具も、その速度を大きく上げてくれます。一方、人が集まる時間には、最初から目的を一つに決め切らない余白も残したいと考えています。
たまたま隣に座った人の話から、知らなかったテーマに触れる。自分では検索しなかった問いを持ち込まれる。発表が終わったあとの立ち話で、前提を考え直す。何が生まれるかを先に決められない時間だからこそ、すべてを予定通りに収めようとせず、少しはみ出せる余白を場の設計として残します。
話すうちに、問いが変わる。
調べたいことが決まっていれば、検索やAIは頼りになります。ただ、仕事でつまずいたとき、最初から適切な問いを立てられるとは限りません。たとえば、技術の問題と思っていたことを、誰に何を届けるかという視点から考え直してみる。そんな整理を、誰かとの会話が手伝ってくれることがあります。
自分の状況を話してみる。聞き返されて、前提を考え直す。別の分野の人の話から、試したいことが見つかる。私たちは、こうしたやり取りが生まれる余地を企画に残したいと考えています。
京都で、人が集まる場所をつくる。
みやこでITは、2019年2月に始まった京都のITコミュニティです。2023年6月に設立したNetsujo株式会社が、現在の運営を担っています。お寺や町家など、地域の場所を使いながら、もくもく会や勉強会、交流の機会を重ねてきました。
場所にも、企画にも、その日の過ごし方が表れます。知識を学ぶ時間に、休憩や会話をどう組み合わせるか。初めて来る人が、何をする会なのか分かるか。私たちは、当日の内容と参加の入口を一緒に考えたいと思っています。
会う理由まで、企画する。
2026年6月29日に開いた「0と1を超える世界:量子コンピュータ入門」の第2回では、講義に、お茶と初心者向けヨガを組み合わせました。詳しい内容と企画の意図は、当日の開催報告に残しています。
学ぶテーマを決めたら、その前後の時間も考える。一人で動画を見るときとは違う過ごし方を用意する。これは、内容と、そこでどう過ごすかを一緒に考えた、私たちの場づくりの一例です。
対面で集まるには、移動の時間も費用もかかります。だから企画の段階で、誰に来てほしいか、一緒に何を試せるか、どんな問いを持ち帰ってもらいたいかを考えます。発表を詰め込まず、参加者が質問したり、話し合ったりできる時間を確保する。足を運ぶ理由は、そこまで含めてつくるものだと考えています。
オンラインにも、居場所を残す。
同じ場所に集まれる人ばかりではありません。住んでいる場所、仕事、家庭の事情によって、参加できる時間は違います。遠くにいても情報を受け取れ、自分のペースで関われることは、オンラインの大きな価値です。
NetsujoのAI実務コミュニティでは、LINEオープンチャットで記事や実践知を共有しています。読むだけの参加も歓迎しています。オンラインで気になったテーマを対面で話す。会場で知ったことを、後から記事で読み返す。それぞれの場所を行き来できるようにしたいと考えています。
会っただけで、相手を信頼できると決まるわけでもありません。話を聞くこと、意見の違いを尊重すること、約束を守ること。信頼の土台になる関わりを、対面でもオンラインでも積み重ねていく。その姿勢は変わりません。
技術をつくる。人が出会う場もつくる。
AIやWeb3を使う仕事と、コミュニティを運営する仕事。どちらにも、技術を使う人がいます。その人が何を考え、何に迷い、何を試したいのかを知る接点を持ち続けたい。Netsujoが人の集まる場所をつくる理由は、そこにあります。
デジタルが便利になったからこそ、人が会う時間をどう使うか、自分たちで選べる。私たちは、共に学び、話し、次の一歩を考えられる場を、これからもつくっていきます。