Claude Codeで、1人で4プロジェクト並行運用の記録
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Claude Code(クロードコード)とは、Anthropic社(米国のAIスタートアップ)が提供するエージェント型AIコーディング環境です。本記事は1人のエンジニアが2026年3月23日から4月23日の31日間、Claude Codeで4プロジェクト(コーポレートサイト / 自社メディア / 飲食店サイト / Strapi基盤)を並行運用し、当時の記録では合計435コミットと報告しました。同期間の既定ブランチ再集計は432件でした。法人サイトの記事追加直前の200件と統合後の197件を固定履歴で再現でき、全体の3件差に一致します。ただし当時の集計コマンドは未回収です。検証する観点は、機能の使い分け、失敗が起きた境界、PRとレビューの扱い、次の改善に必要な測定項目です。
2026年3月23日から4月23日までの1ヶ月間、Claude Codeで4つのプロジェクトを並行運用しました。当時の報告値は合計435コミットです。会社のコーポレートサイト、自社メディア、飲食店Webサイト、Strapi CMS基盤を、1人で同時に進めた記録です。その間の実装方法、判断、失敗を作業単位で記録します。
想定読者
Claude Codeを業務で使い始めたエンジニアの方
個人開発者・1人CTOで複数プロジェクトを抱えている方
AIエージェントの運用設計・チーム連携に関心のあるチームリードの方
— 01
1ヶ月の数字
この節で確かめられるのは、31日間の活動件数と4案件への配分です。AI導入前の比較データ、受入品質、投入時間がないため、コミット数だけから生産性の改善倍率は計算できません。
435
コミット
1ヶ月の合計
4
プロジェクト
並行運用
60+
デプロイ
PR経由の本番反映
1
人
実働はオーナー1名
プロジェクト別内訳
出典:2026年4月当時の記事に記録された4プロジェクト別活動。2026年10月13日、現行既定ブランチをUTC 2026年3月23日〜4月23日の範囲で再集計すると、コーポレートサイト197・自社メディア182・飲食店43・CMS10の計432件でした。当時の435件との差3件はコーポレートサイト分です。2026年4月の記事追加直前の固定Git履歴では法人サイト200件、統合後の固定履歴では197件を同じUTC期間で再現でき、この履歴差が全体の3件差と一致します。ただし当時の集計コマンドは未回収で、本図は当時の報告値を示します。 4案件のコミット内訳は合計435件です。 横棒は最大の案件を100%として比較しています。 コミット数は作業量の一指標であり、品質・開発速度の改善・費用対効果を証明しません。
コーポレートサイト
Next.js 16 + Strapi v5
200
commits
ケーススタディ3件新設 / SEO 17施策 / GA4計測 / ナレッジハブ / デザイン監査
自社メディア
記事配信・SEOハブ
182
commits
ハブ&スポーク記事戦略 / CTR改修 / 外部寄稿連動ニュース掲載
飲食店Webサイト
小規模CMS連携サイト
43
commits
Sheets CMS / 多言語対応 / JSON-LD構造化
CMS基盤
Strapi v5 (Railway)
10
commits
スキーマ拡張 / Cloudinary移行
コーポレートサイトの「SEO 17施策」には、後に誤りとして撤回した項目が含まれます。一般ページへのIndexing API送信をSEO施策として扱ったことなどを、撤去・再評価の対象としました。旧URLのリダイレクト修正やog:type・og:imageの改善などは、有効な改善として残しています。撤回した主張の一覧と再発防止はAIエージェントでSEO改善を誤実装した記録にまとめています。
補足
上記4プロジェクト以外に、請求書処理・Google Workspace連携などの社内業務も並行していました。実装の多くをClaude Code経由で進めましたが、対話・方針決定・レビューの投入時間を記録していないため、人間の総作業時間がどれだけ減ったかは判定できません。
— 02
使った機能と使い分け
機能単体の凄さよりも、複数の機能を組み合わせることで「個人が部署を持つ」のに近い運用が成立します。
Sub-Agent: 探索・実装・レビューで三層化
Claude CodeのAgentツールは、役割を分けて使うとコンテキスト汚染を回避できます。本運用では3層で使い分けました。
- ▸探索専用(Explore): コードベース横断の検索。結果だけを親エージェントに返し、探索中の大量のファイル読み込みを親コンテキストに残しません
- ▸実装(general-purpose): 独立タスクの実装。worktreeで分離し、親の作業を止めません
- ▸レビュー(code-reviewer): 実装後の独立レビュー。親が見落とした観点を引き出します
加えて自作した役職別エージェント(デザイナー・CTO・編集長など)を併用しています。役割別のシステムプロンプトと参照ルールは、レビュー基準を揃えるために用いました。欠陥率やレビュー品質の改善量は、当時測定していません。
Taskツール: 並行タスクの状態管理
TaskCreate / TaskUpdateを「プロジェクト横断のバックログ」として使います。特に複数プロジェクトを同時に触る場合、どのタスクがどのPRに紐づくかをタスクのメタデータで管理すると混乱しません。
#57 [in_progress]コーポレートサイト 全体デザイン監査 #60 [completed] #6ケース詳細H2インフレ解消(3件) #64 [completed] #10プレースホルダー画像改善
親タスク + 子タスクの構造にしておくと、Claude Code自身がどこまで進んだかをTaskListで即把握できます。セッションをまたいでも状態が残るため、再開が速いです。
Memory: ユーザープロファイルと不文律を永続化
Claude Codeのauto memory(~/.claude/projects/<path>/memory/)は、セッション間でユーザーの好み・過去の失敗・プロジェクト文脈を引き継ぐ仕組みです。本運用では5種類のmemoryを使い分けました。
user
本人の役割・スキル・作業スタイル
例: PM経験ベースで要件整理を重視
feedback
過去の失敗・不文律・言語化されたルール
例: ポエム表現禁止 / main直push禁止・PR運用
project
案件固有の制約・締め切り・関係者
例: Strapi v5のpublishedAtはシステム管理
reference
外部サービスのID・URL・認証情報の所在
例: GA4 property / GSC URL-prefix
session
前回セッションの途中経過
例: どのPRをどこまで進めたか
新規メンバーにオンボーディング資料を渡すのに近い感覚で、Claude Codeに不文律をドキュメントとして渡せます。毎回同じ注意事項を繰り返さずに済みます。
Skill: 自分の作業フローをコマンド化
~/.claude/skills/以下に自作スキルを置くと/skill名で呼び出せます。本運用で自作したスキル例:
- ▸記事執筆フォーマット: ですます調統一、ポエム表現禁止、構成テンプレ適用を一括チェック
- ▸デプロイ前チェックリスト: ビルド・型チェック・Preview URL発行・本番確認までを順序固定で実行
- ▸SEO監査ルーチン: GSCデータ取得 → インデックス問題洗い出し → 改善案リスト化までを定型化
- ▸Strapi操作手順: スキーマ追加・リバリデーション・Cloudinary連携の定型フロー
スキルは「Claude Codeにどう振る舞ってほしいか」のプロンプトをコード化できます。毎回「この観点でレビューして」と書かずに済み、フロー全体の一貫性も担保されます。
MCP: 外部サービスとの統合
MCPは「Claude Codeが扱えるツール」を後付けで増やせる機構です。本運用で使用したサーバー:
Canva
デザインファイル編集・コメント投稿(テキスト直接編集APIは現状なし)
Google Workspace
Docs/Slides/Sheets/Gmail/Driveの自動操作
Chrome DevTools
本番サイトのLighthouse監査・ネットワーク調査
Memory
エンティティ・リレーション管理(長期記憶)
Google Workspace MCPが意外と強力で、週次GA4レポートをDocsに自動生成し、そのままDiscordに投稿するところまで到達しました。
— 03
具体ユースケース5連発
その31日間の運用から、判断と修正が発生した5つの作業例を取り上げます。
サイト横断デザイン監査(1日で14項目処理)
自作した「デザイナー」ロールのサブエージェントに監査を投げ、問題点を一覧化しました。TaskCreateで14項目登録、優先度順に順次修正し、本人は方針決定とPRレビューのみを担当しました。H2プレフィックスの統一、R&D 4プロジェクトのカラー分け、CTA 2系統の書き分け、ヒーローH1のモバイル改行対策など、単体では些末ですが積み重なるとサイト品質を大きく左右する項目を一気に処理できます。
SEO 17施策の一括改善
GSC・GA4のデータをMCP経由で参照し、17項目の変更を1つのPRにまとめました。検出・インデックス未登録53ページの調査、構造化データ警告5件の補正、旧URL30件のリダイレクト、og:type・og:imageの調整などを含みます。ただし、この17項目には後に誤りとして撤回した施策があり、全件が有効だったわけではありません。AI使用前後の同条件比較や人間の作業時間の測定はしていないため、開発効率の改善倍率は示せません。
この17項目には、後に誤りとして撤回した内容が含まれます。一般ページへのIndexing API送信をSEO施策として扱うこと、llms.txtやai-plugin.jsonを標準的なAI検索対応と呼ぶことなどを、撤去・再評価の対象としました。旧URLのリダイレクト修正やog:type・og:imageの改善は、有効な改善として残しています。何を止め、どう再発防止したかはAIエージェントでSEO改善を誤実装した記録にまとめています。
複数CMSスキーマ拡張(Strapi v5)
Strapiの新規コレクション(case-study / trust-signal)を追加しました。Claude CodeにスキーマのYAML仕様を渡し、schema.json + TypeScript型 + フロントエンドのfetcher関数を同時生成させます。Railwayでデプロイ、Cloudinary連携、Vercel側のリバリデーションまで一気通貫で実施します。publishedAtがシステム管理フィールドであるなどの罠をmemoryに記録しておくと、次回以降同じハマり方を回避できます。
業務自動化(コードを書かないClaude Code活用)
Claude CodeのMCPは業務系SaaSにも接続できます。GA4週次レポートをDocsに自動生成してDiscordに投稿したり、MoneyForward請求書の支払い代行をPlaywrightで実施したり、会社概要のGoogle Slides全スライドをバッチ更新するなど、コード生成と業務オペレーションを同じ運用体制で回せます。「コードを書くClaude Code」と「業務を回すClaude Code」の境界は、思ったよりも曖昧です。
デザインの複数パターン並走検証
デザインリニューアルの方向性を決めるとき、通常なら「1案で疲弊」するところを、Claude Codeは別ブランチをworktreeで並列生成できます。Scandinavian・オーガニック・アカデミック・マルチカラーなど複数テイストを1日のうちに並走させて比較できます。複数案を並べて検討しました。候補ごとに結果を比較した記録ですが、評価条件を揃えたABテストではありません。
— 04
体制設計: 品質ゲートとPR運用
「Claude Codeにやらせない境界」を明示することが、速度と事故回避の両立に効きます。
レビューゲート3層
コード変更からmergeまでに必ず通すゲートです。
- 1.デザイナーレビュー: UIが絡む全変更
- 2.CTOレビュー: DB同期漏れ・デプロイミス・インフラ関連
- 3.CEOレビュー: オーナーに報告する前の最終ゲート
オーナーが確認すべき「初歩的なミス」をClaude Code間の相互レビューで弾きます。オーナー時間の節約と品質担保を両立できます。
main直push禁止・PR運用
Vercel / Railwayへのデプロイ回数がそのまま課金に跳ねるため、1日の本番デプロイは1回以内を目標にしています。
feature branch → commit + push → PR作成(gh pr create) → Preview URLをDiscord共有 → オーナー目視確認 → 「mergeして」で明示承認 → squash merge
重要なのは、「進めて」は作業継続+Preview共有までであって、mergeではないという点です。これをmemoryに明記しておかないと、Claude Codeが勝手にmergeする事故が起きます。
実行ログとGitHubへ結果を集約
作業完了・エラー・調査結果は、GitHubのIssue・PR・Actionsログなど再確認できる正本へ残します。外部通知へ依存せず、実行結果と証拠を同じ場所から追える状態を優先します。
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失敗と対処
成功談だけを並べても再現性が出ません。1ヶ月で踏んだ落とし穴と、どう対処したかを残します。
Canva MCPのテキスト直接編集APIが存在しない
会社概要資料の更新で詰まりました。差分ガイド生成とコメント投稿までは可能ですが、テキスト直接編集は不可です。Google Slidesに切替してbatch_update_presentationで全スライドを一括更新する方針に変更しました。
Vercel Preview ProtectionでClaude Codeが401
Preview URLにClaude Codeからアクセスしても、Vercel認証で弾かれてしまいます。自動スクリーンショット検証は諦めて、本人が目視確認する運用に統合しました。PreviewはオーナーがUI確認し、Claude Codeはビルドログとlintで品質を担保する役割分担に固定しています。
Strapi APIトークン再発行忘れ
Railwayでenv変更後、トークン失効で本番データ書き込みが不可になって止まりました。vercel env pullでのトークン取得手順をmemoryに固定化し、トークンが絡む作業前に必ず再確認するフローにしました。
承認フロー設計ミスで意図しない本番反映
曖昧な指示語(「進めて」)の解釈が、作業継続とmerge OKで揺れた結果、意図しないタイミングで本番反映が走りました。明示キーワード(「mergeして」)でのみ本番反映する運用に固定し、memoryに記録しました。承認の線を曖昧にすると、速度の代わりに事故が起きます。
— 06
これから試すこと
- Claude Agent SDKによる自作エージェントの拡張
- MCPサーバーの自作(社内ツール連携用)
- Cron × Claude Codeでの定期バッチ完全自動化
- 複数マシン並列運用(M1 Mac + クラウドVM)
まとめ
初期記録には435コミット / 4プロジェクト / 1人と記載されています。現行既定ブランチの計432件との差3件は、法人サイトの異なる固定Git履歴間で再現できます。当時の集計コマンドは未回収です。AIを使わなかった場合との比較や、成果品質・費用対効果の検証は実施していません。
機能単体の凄さよりも、Sub-Agent × Task × Memory × Skill × MCPの組み合わせが効きます。特にMemoryとSkillは、「同じ注意を毎回繰り返さない」「ロールの一貫性を担保する」という2点で、複数プロジェクト並行運用の基盤になります。
重要なのは「Claude Codeにやらせない境界」の設計です。merge承認、デプロイ頻度、レビュー層の3点を明示ルール化しないと、速度の代わりに事故が起きます。
Claude Codeは部下というよりも「組織」として扱うのが実態に近いです。個人が1人で複数プロジェクトを回すための基盤インフラとして、運用設計そのものが成果を左右します。
この記事の著者

飯田 友広
代表取締役
Netsujo株式会社 代表取締役。Technical BizDev / AI Deploymentとして、顧客の業務課題、AI適用領域、PoC、実装チームとの要件、本番導入後の評価をつなぐ。京都発のWeb3・AI実装スタートアップを2023年6月に創業。Webサイトを営業基盤として捉え、経営・営業・検索・生成AI・コンバージョン・計測を横断して課題と改善優先順位を整理する「Netsujo SIGNAL」を設計・運営。さらに、ChatGPT・Codex・Claude Codeを状態再構築、競合回避、独立QC、Exact-head検証、停止、復旧まで含む制御ループで運用する社内AI開発基盤「Netsujo Agent OS」を設計・実運転。Netsujoとして京都ビッグデータ活用プラットフォームに参画(小規模企業会員(ベンチャー))し、同プラットフォーム発のワーキンググループ「Chain Up KYOTO」にも参画(2026年3月10日〜)。IVS2026サイドイベント「なぜ京都でWeb3.0ビジネスなのか」はNetsujoとして京都府庁旧議場で主催・企画・登壇・運営(2026年7月2日/京都府 総合政策環境部 デジタル政策推進課は共催)。京都美術工芸大学・龍谷大学での講義に加え、京都高度技術研究所(ASTEM)、旅館業界、就労支援施設、Open Source Conference等で登壇実績。ITコミュニティ「みやこでIT」(connpassメンバー639名・イベント176件・2019年2月から運営)運営。NPO法人NEMTUS理事、BAR KRYPTO運営。Netsujoはソーシャル企業認証制度「S認証」の認証企業(2026年2月認証・2026年4月公表)。技術領域はWeb3/ブロックチェーン/DID/NFT/生成AI/コミュニティ運営。
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