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規制・法律2026.04.07約12分で読める

日本のSTO規制と展望

セキュリティトークンの法的位置づけ

STO(セキュリティトークン・オファリング)は、有価証券をブロックチェーン上で発行・流通させる仕組みです。

日本では2020年の金商法改正で「電子記録移転権利」が新設され、法的根拠が整備されました。本記事では規制の全体像・海外との比較・今後の展望を整理します。

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STOとは — セキュリティトークンの定義

STO(Security Token Offering)とは、株式・社債・不動産持分などの伝統的な有価証券をブロックチェーン上のトークンとして表現し、発行・流通させる仕組みです。発行されたトークンを「セキュリティトークン(ST)」と呼びます。

ICO(Initial Coin Offering)との違いは法的位置づけにあります。ICOは規制の曖昧な暗号資産としてトークンを発行するのに対し、STOは既存の証券規制に準拠したかたちで実施されます。

セキュリティトークン

法的に有価証券として認定されたブロックチェーン上のトークン。配当・利子・議決権などの権利が紐付きます。

ユーティリティトークン

サービス・プラットフォームの利用権を表すトークン。有価証券には該当しないことが多いですが、実態判断が必要です。

ステーブルコイン

法定通貨等に価値が連動するトークン。日本では2025年改正資金決済法の規制対象として整理されています。

STOの主な発行形態

  • 不動産STО — 不動産の受益権をトークン化。小口投資が可能になります。
  • 社債STO — 社債をトークン化して電子的に発行・流通させます。
  • ファンドSTO — 投資ファンドの持分をトークン化します。
  • インフラSTO — 再生可能エネルギー・インフラ資産の収益権をトークン化します。

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日本の規制枠組み

日本のSTO規制の中核は金融商品取引法(金商法)です。2020年改正で新設された「電子記録移転権利」がSTOの法的根拠となっています。

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金融商品取引法(金商法)

セキュリティトークンは金商法上の「有価証券」に該当します。具体的には、集団投資スキーム持分(第二項有価証券)または社債・株式等(第一項有価証券)として整理され、発行・流通には第一種・第二種金融商品取引業の登録が原則必要です。

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電子記録移転権利(ERTC)

2020年の金商法改正で新設された「電子記録移転権利(ERTC: Electronic Record Transfer Rights)」が、STOの法的根拠を明確化しました。ブロックチェーン等の電子情報処理組織を用いて移転できる財産的価値として定義され、有価証券の一形態として規制の対象となっています。

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適格機関投資家等特例業務

発行額が少額・投資家が一定要件を満たす場合には、第一種金融商品取引業の登録なしに「適格機関投資家等特例業務」として届出のみでSTOを実施できる枠組みがあります。スタートアップや中小企業のトークン発行に活用されるケースが増えています。

実務上の注意点

セキュリティトークンの発行にあたっては、金商法上の業者登録・投資家保護措置・開示義務の3点が主要なコンプライアンス要件です。法律顧問・第一種金融商品取引業者との連携が前提となり、スキーム設計の初期段階から法務的確認を組み込む必要があります。

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海外との比較

米国SEC規制・EU MiCАと日本の規制を比較します。各国のアプローチには違いがあり、越境STOを検討する場合は複数の規制体系の理解が必要です。

米国(SEC)

証券規制(Securities Act)が厳格に適用されます。登録免除規則(Reg D・Reg S・Reg A+)を活用したSTOが主流で、KYC/AMLの整備が前提となります。エンフォースメントも積極的で、多くのICOが事後的に有価証券と認定されました。

特徴

エコシステムの厚みと機関投資家の参加度

EU(MiCA規制)

2024年に全面施行されたMiCA(Markets in Crypto-Assets)規制により、EUレベルで統一的な暗号資産・STO規制が整備されました。発行体が一度承認を得れば、EU全域で活動できるパスポーティング制度が特徴です。

特徴

域内統一ルールによる越境サービスの容易さ

日本

電子記録移転権利の枠組みにより、既存の金商法体系の中でSTOを位置づける方式を採用しています。投資家保護規制が厳格で、開示義務・適合性原則が明確に適用される反面、制度の透明性が高く機関投資家の参入障壁が低い面もあります。

特徴

制度の明確性と機関投資家の信頼性

日本でSTOを実施する際の比較優位

制度の明確性:電子記録移転権利の規定により、法的グレーゾーンが少なく、機関投資家が参入判断しやすい環境です。

投資家基盤:証券会社等が既存顧客にセキュリティトークンを提供できる枠組みがあり、販売チャネルが整っています。

課題:二次市場の流動性が低く、投資家にとっての換金性が課題として残っています。セカンダリー市場の整備が2026〜2027年の重要テーマです。

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今後の展望

規制枠組みの整備が進む中、STO市場は2026〜2028年にかけて拡大フェーズに入ると見られています。主要な展開方向を3点整理します。

RWAとSTOの統合

不動産・インフラ・債券のトークン化(RWA)とSTOの枠組みが統合的に活用される事例が2026年以降に急増する見通しです。特に機関投資家向けの私募STO市場が拡大し、流動性改善の効果が検証されつつあります。

セカンダリー市場の整備

セキュリティトークンの流通市場(二次市場)整備が課題として残っています。国内では大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)などがSTO取引プラットフォームの構築を進めており、2026年以降の流動性向上が期待されています。

少額STO・クラウドファンディング

適格機関投資家等特例業務の枠組みを使った少額STOが中小企業・スタートアップの資金調達手段として注目されています。従来の株式型クラウドファンディングと比較した流動性の優位性が評価されつつあります。

STO実施を検討する際のステップ

Step 1 — スキーム検討:発行対象資産の選定・投資家区分・発行規模を検討し、適用される規制枠組みを特定します。

Step 2 — 法務確認:第一種金融商品取引業者・法律顧問と連携し、金商法上の手続き要件と開示義務を確認します。

Step 3 — 技術実装:スマートコントラクト設計・KYC/AML機能・投資家管理システムを構築します。セキュリティ監査の実施が必須です。

まとめ

日本のSTO規制は、金商法における「電子記録移転権利」として整理されており、法的根拠が明確な点が特徴です。

米国SEC・EU MiCАと比較すると、日本の枠組みは制度の透明性が高く、機関投資家の参入に適した設計となっています。一方でセカンダリー市場の流動性が引き続き課題です。

2026〜2028年にはRWA統合・セカンダリー整備・少額STO拡大の3方向で市場が拡大する見通しで、スキーム設計の初期段階から法務・技術の両面を整合させる準備が重要です。

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